研究概要 |
火薬の爆発を利用した専用の鋲打ち機により鋲を鋼材に撃込む撃込み鋲接合は,電源が不要となり,天候に左右されないので,施工性の向上や工期短縮が期待できる.撃込み鋲接合を構造用鋼材とデッキプレートの接合に用いる既存の用途以外に,最近,需要の増加と適用範囲の拡大に直面している軽量鉄骨構造に適用することを試みる. 本研究では,板厚6mm以下の軽量鉄骨構造の鋼管や形鋼などに用いた撃込み鋲の接合特性を実験によって明らかにすることを目的とする.具体的には,軽量鉄骨材とデッキプレートの撃込み鋲接合部に引剥し力が作用する場合とせん断力が作用する場合について調査した. 撃込み鋲接合の引剥し耐力はデッキプレート厚さの影響を最も受けており,根入れ深さと鋼種の影響をあまり受けないことが分かった.また,最大引剥し耐力はデッキプレート厚さ1.0mmに比べ,1.2と1.6mmで大きい値を示すが,1.2と1.6mmの差はあまりなかった.最終的な破壊形状はほとんどデッキプレートの破断であるが,一部で撃込み鋲の座金抜けが見られた.しかし,座金抜けの場合も最大引剥し耐力はあまり低下しないことが分かった. 撃込み鋲接合のせん断耐力はデッキプレート厚さの影響を最も受けているが,鋼種の影響は受けないことが分かった.また,せん断耐力はデッキプレートが厚くなる程,根入れ深さが大きくなる程,大きい値を示した.ほとんどの試験体でデッキプレートの端抜け後せん断破壊が見られたが,比較的デッキプレートの厚い1.6mmではデッキの端抜け後せん断破断,端抜け破断,撃込み鋲引抜けの3種類の破壊形状が現れた.
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