最終年となる本年度では、昨年度までの成果を踏まえ、より汎用的な予測評価を行うための数値モデルの検討を進めると共に3D-CAD上で操作が可能となるインターフェイスの開発を行い、パッシブデザインのための設計支援ツールの構築を行った。 まず、パッシブデザインを行う上で重要な要素となる樹木の日射遮蔽モデルについて、樹陰内にできる木漏れ日の分布の特徴を分析し、樹陰内の分布と太陽高度の関係等との分析を行った。その中で、樹種としての特徴が捉えられたプラタナスなどの樹種に関して、昨年度の季節毎の日射透過率の分析結果とあわせ、モデル化を行った。しかし、同一の樹種でも、複数の特徴がみられるものが存在したため、それらの樹種については、葉の分布や葉の角度等について、今後の課題として分析を進める。 また、三次元熱伝導方程式については、設計支援で使用できるように、高速で計算負荷の少ないADI法の導入し、計算精度の検討を行った。しかし、時々刻々と変化する境界条件に対して、計算の安定性が確保できなかったため、本ツールでの3次元熱伝導方程式の導入は行わず、今後の課題とする。これにより、局所的な熱伝導の影響は評価できないものの、総体的な評価としては十分な精度が得られると判断し、ツールの構築を行った。 最後に、これまでの成果をもとに、パッシブデザインのための設計支援ツールの構築を行った。プリ処理では、オブジェクト指向の3D-CADを用いて、室内の形状と材料を入力するインターフェイスを構築すると共に、室内と屋外の影響を反映できるように計算質点の整合性を自動的に補正し、表面温度が算出できるプリ処理を開発した。またポスト処理としては、計算結果を3D-CAD上に貼り付け、屋外、屋内の光環境や熱環境の可視化を可能とした。
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