本研究では、非線引き用途地域外で策定される白地地区計画の展開に向けた技術的手法の構築に示唆を与えることを本研究の目的としている。 初年度は、まず全国の白地地区計画の自治体に対してアンケート調査を実施するとともに、その関係資料を収集し分析を行った。その結果、白地地区計画の適用傾向が明らかにされ、大きくは事業系、土地利用系、都市計画区域全域策定系の白地地区計画の存在を確認した。 次年度は、それらの白地地区計画から調査対象地区を抽出し、ヒアリング調査及び現地調査に加えて、土地利用、人口、開発動向等の現状分析から、白地地区計画の活用実態、メリットや課題を具体的に明らかにする実証研究を試みた。まず、事業系の地区計画は、用途地域外で事業を実施するために、地区計画制度の趣旨と異なる活用がされていた他、建築物等への制限が乏しい等といった形骸化した地区計画の策定実態が明らかとなった。次に、土地利用系の地区計画は、用途地域が指定できない場合などでそのメリットが発揮されており、農林調整が難航する場合等での用途地域に代わる規制手法としての役割が期待された。最後に、都市計画区域全域策定系の白地地区計画は、他法令の規制区域との重複指定の問題を克服することで、本来地区レベルの規制制度である地区計画を、白地地域での広範囲な規制手法として実現させている。しかし、従来の都市計画区域外の領域で、地区計画を導入するために都市計画区域を拡大した事例では、既存不適格建築物を多数発生される課題が指摘された。 以上の知見を踏まえて、適正な白地地区計画の展開に向けた制度のあり方を検討した。
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