研究概要 |
平成22年度には,カリフォルニア州ロサンジェルス近郊において,民間ディベロッパーによる全米最大規模のニュータウン(アーバイン・ランチ)内のゲーテッドコミュニティとおよび非ゲーテッドコミュニティを対象に,住環境の観察調査および資料の収集を行った。さらに,高齢者専用のシニアコミュニティ等についてもフィールドワークを行い,多様なゲーテッドコミュニティのあり方を把握した。 また,カリフォルニア州デイビス市においては,コミュニティ自身がストックの住宅地をコンバージョンしつつコウハウジング化しているNストリート,農と住の結合を意図しているビレッジホーム等を訪問し,コミュニティのリーダーにたいしてインタビューを実施するとともに,その空間構成の手法を把握した。それらはいずれも,ゲーテッドコミュニティとは異なり,コミュニティの相互交流をベースにセキュリティも実現するものであった。 さらに,フィリピン・マニラ市において,富裕層向けのゲーテッドコミュニティについても予備的なフィールドワークを行った。それらは,アメリカのゲーテッドコミュニティの空間構成と仕組みをそのまま輸入したものであったが,一方でローカライゼーション的側面も観察された。 以上のフィールドワークで得られたデータをもとに,現在世界中の富裕層たちがモデルとしているカリフォルニアのゲーテッドコミュニティ自体と,グローバリゼーション体制下でのアジア都市でのその再現を比較考察することで,セキュリティ・マネジメントの意図と手法それを支える制度と文化的背景について考察を行った。
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