コミュニティプラン策定の実態を調査した一年目(平成21年度)の成果を踏まえて、二年目(平成22年度)は、コミュニティプラン策定に関わる人的支援のあり方について考察を加えた。事例としては、新潟県長岡市(旧山古志村、栃尾市等)、小地谷市、小国町の地域復興支援員、および宮城県栗原市花山町小豆畑集落の集落支援員を対象とした。踏査を通じて、過疎高齢化のすすむ中山間地域で抱えている地域課題の解決に結びつくコミュニティプランを策定する意義と展開プロセスについて考察することができた。 また、宮城県丸森町羽出庭地区においては、集落住民が現状把握からビジョン・行動計画を検討するコミュニティプラン策定に参加することによって、従来の世帯主を中心とする自治組織体制から住民全員を担い手とするまちづくり協議会型自治組織へ変化する機運を見出すことができた。つまり、住民自身の手でプランをつくっていく作業を通じて住民の中に主体意識や連帯意識が形成されていくことが示されたと考える。同時に、コミュニティプランを策定する一連のプロセスでは、話し合いのコーディネート、事例や制度等の情報提供、調査や話し合いの結果の取りまとめ、参加者以外の住民や行政との情報共有等を担う役割が重要であることが分かった。従って、地域復興支援員、集落支援員、地域起こし協働隊、田舎で働き隊等の人的支援が、今後中山間地域の暮らしを守っていくための生活インフラとして求められてくる。 過去の大震災の被災地を調査してきた研究蓄積を活かして、最終年度となる平成23年度では、2010年3月11日に襲った東日本大震災の被災地を対象に、コミュニティ再建に向けたコミュニティ復興計画の策定、およびコミュニティ復興推進員の必要性について研究を行っていく予定である。 本研究の成果は、『地域コミュニティの再生と協働のまちづくり(河北新報出版センター・共著)、2011年1月発行』に取りまとめ報告している。
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