平成23年度成果 ~実証実験と数理基準抽出及び指標化~ 本研究は、良好な住空間において体感することができる疲労やストレスの解消効果とその実効性に着眼し、新しい評価概念として「空間の疲労回復性能(リフレッシュ・アビリティ)」を定義し、空間ヴォリューム及びその採光方法の制御できる小規模実験空間装置を用い、設定された各状況下における被験者の疲労回復等の生理状態を時系列計測と性能評価基準の数理基準値の策定を行い、実験空間装置において再現できる条件下での性能を増幅させる自然光の採光手法を推定・評価するための解析数理モデルを構築することを目的としている。本研究は、良好な住空間において実感することができる疲労やストレスの解消効果を、住空間に特有の効能としてとらえ、その実効性を人体の生理状態の時系列変化に関連づけて計測し定量化する点において特色を持つものであり、これまでに例をみない休息効果を呈する空間づくり・空間評価手法の提案が可能となることが、最大の期待されるべき成果となる。 平成23年度の成果としては、形状変更・拡張された実験閉空間(平成21年度にて構築木材を用いて制作)において、平成22年度に構築済みの最適採光モデルに対し、精度検証とモデルへのフィードバックを行い、実際の住空間における疲労回復性能の評価のケーススタディを行った。特に昨今の注文住宅の設計計画として需要の高い「縦あるいは横スリット窓」について追試験を行い、実効的な評価を行い、その成果を日本建築学会にて講演・発表を行った。
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