本研究は、コミュニティネットワーク(以下ネットワーク)を活用した都市貧困層の自立型改善に向けた取り組みが行われているタイの都市貧困層コミュニティの事例を基に、ネットワーク組織の組織的な展開と当該住民の開発を相互の関係を基に、ネットワークの活動が部分から全体へとつながる運動的展開を分析することで、ネットワークを通した都市貧困層の自立型改善に関する計画法方論を構築することを目的としている。 初年度である平成21年度は、1)当該コミュニティ住民の属性やコミュニティの基礎的事項及び自立型開発の事例の収集、2)CODI及びNGOによって支援されている各ネットワークの基礎的事項及び活動事例の収集、3)ネットワークの形成過程に関するデータの収集、等を目的として、バンコク、アユタヤ、チェンマイ、ソンクラ、コンケンの都市貧困層コミュニティのコミュニティリーダ及び住民、各ネットワークのリーダ及び委員会メンバー、その他の関係機関を対象として2009年8月27日から9月10日、2010年3月14日から3月20日の期間中に聞き取り調査を実施した。加えて、タイ政府の都市貧困層に対する政策及びその取り組みに関する資料の収集を併せて行った。上記の調査・研究によって得られた研究の成果の一部を国際開発学会第20回全国大会(2009年11月22日)において、「コミュニティネットワークを通した野宿者の自立型開発に関する一考察~タイ・ホームレスコミュニティネットワークの事例より~」の題目で発表を行った。今後は、上記の調査を継続し、更に発展させて調査研究を行っていく予定である。
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