本研究は、コミュニティネットワーク(以下ネットワーク)の先駆的な地域であるタイを対象国と定め、バンコク、アユタヤ、チェンマイ、ソンクラ及びコンケン等において、ネットワークの支援のもと都市貧困層が実施している生活・環境改善に対する取り組みに焦点を当て、ネットワーク形成過程と各都市貧困層が取り組んでいる活動との相互性からネットワークの活動が部分から全体へとつながる運動的な展開を分析し、コミュニティネットワークを通した都市貧困層の自立型改善に関する計画方法論の構築を目的としている。 本研究の目的を達成するために、平成23年度は(1)ネットワーク組織の活動及びその組織形成過程、(2)ネットワーク組織の地域内から地域外への波及プロセス、及びその効果に関するデータの収集に重点を置き、バンコク及びアユタヤにおいて現地調査を実施した。 本研究の成果として、バンコクであるが、(1)都市貧困層を支援しているNGOの活動及び同組織が支援しているネットワークの活動、その組織形成に関するデーターを収集出来たこと、(2)都市貧困コミュニティの活動に関するデーターを収集出来たこと、等が挙げられる。次にアユタヤであるが、(1)同地域に於いて都市貧困層が実施している活動等に関するデータを収集出来たこと、(2)同県で組織されているネットワークの活動及びその組織形成に関するデータの収集が出来たこと、(3)ネットワークの活動における課題などに関するデーターを収集出来たこと、などが挙げられる。上記の調査から、第一に、ネットワークの形成に於いて、テーマ性がみられること、第二に、その形成過程に於いて、外部支援組織の役割も重要な役割を果たしていることなどが明らかとなった。 本研究で得られた研究成果は、都市貧困層の生活・環境改善について考えるうえで有効な示唆を与えるものと考えられ、研究の意義があり、そのの重要性があるものと考えられる。
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