21年度には、既に開発を始めていた点群データ(レーザー計測データ)からの不規則な部材形状の3次元モデリング機能について、外部委託会社との調整のもと、機能の修正やマクロ機能の追加開発を行い、当初の想定形の6割程度の完成度で開発が完了した。具体的には、部材断面形状の近似断面線抽出機能の精度向上は技術的困難さから保留し、モデリングマクロ機能の開発を実施し、モデリングプロセスを効率化した。一方、点群データから2次元図面化への有効性についても確認するため、点群データを下敷きとした破損図の描き方を整理した。それらのモデリング機能や図面作成手法をケーススタディである東本願阿弥陀堂の主要構造体に適用し、その結果について検証した。 22年度には、まず上記のモデリングの有効性を確認するため、汎用CAD用の点群処理ソフトウェアも導入し、上記のモデリング作業プロセスとの比較検討を行い、双方の利欠点を整理した。また、これらのモデリング機能を用い、東本願阿弥陀堂の主要な構造体をモデリングし、耐震設計を請け負っている設計会社ととの情報交換の中で、点群データや3次元モデリングの活用可能性についてヒアリングを行い、今後の点群データの活用性について一定の指針を得た。また、当初予定していた建物の傾斜や不陸の状態を可視化する機能については調査・検討の結果、自動化は現時点のソフトウェア機能や単純なカスタマイズでは困難であり、一方で、市販の点群処理ソフト機能を援用して作業遂行可能であることから、その作業プロセスや留意点について整理した。また、予定にはなかったが、点群データとそれを基にモデリングした3次元モデルの誤差を確認する方法も実施・検証した。これにより、3次元モデルの信頼性について担保する手掛かりを得た。
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