本研究は、「市民版マスタープラン」(以下「市民版MP」)を従来の「市民(団体)による行政計画(主に都市計画マスタープラン)への提案手法」としての作成・活用だけでなく、「市民(団体)自身の活動規範のためのマスタープラン」としての市民版MPの作成・活用の方法を探求する研究である。 本年度は、作成主体の市民版MPの活用評価を確立することに繋げるため、本研究に適合する市民版MP作成事例(日野市、狛江市、柏市、調布市、流山市、所沢市、府中市、多摩市、野田市)の、作成主体及びその構成員が発行している刊行物や行政計画等の収集や、これらの調達資料から把握できた事実関係の整理(市民版MPの計画内容が、行政や他主体との折衝を通し実現化に向かっていく動向の実態、計画内容の受容実態、各種主体(構成員)間の関係性(協働等)等)、そして各市民版MPの計画内容(本年度は特に将来像の実現化の手段について記述されている部分)の分析・構造化を行った。 また、これからの地域まちづくりへの応用を意図した市民版MPの作成・活用方法を探るための実験的検証を行うため、現在市民版MP作成への機運が高まっている(あるいは既に作成作業を行っている)3つの事例(中部ESD拠点協議会の庄内川流域まちづくり、春日井市勝川駅前周辺地区のまちづくり、名古屋市中志段味地区の農地保全運動)に対して、参与観察や、情報支援・専門的知識提供の支援・プラン作成の技術的支援等による誘導を行い、それらの事例の作成プロセスの詳細把握、作成中の段階毎で出来上がっている計画内容の変容実態の把握、そして支援の効果の検証等を行った。また併せてこれら3事例の組織づくりやマネジメント方法の実態把握、検証等を行った。
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