研究概要 |
研究対象地域であるアルメニア共和国において、キリスト教建築遺構の調査ならびに現地研究協力者との研究・調査打ち合わせ及び調査許可関係の調整を実施した。 アルメニア共和国における調査では、南部シウニク行政区に位置するTatev修道院の他、西部のErerouk,Talinの遺構群、Koshの13世紀の教会堂遺構、Yerevan市内のS.Astvatsatsinの教会堂を対象とした。また、国境の軍事緩衝地域に位置するため立ち入りの困難であったAragatsの遺構については、特別に調査許可を得て初めて実地調査を行った。同じ軍事緩衝地域にあるBagaranの遺構については、遠方よりその所在と状態を確認するに留まった。各遺構における作業内容としては、とくに壁面装飾をはじめとする細部装飾意匠と、建築構法を考察するための石積みのしかたについて写真撮影を行うのと同時に、遺構の現状の確認を行った。 上記の現地調査から得られた写真データに基づき、アルメニア共和国のキリスト教建築遺構における壁面装飾の整理を、遺構ごとに整理を進めた。今回の調査で概ね終了する予定であった初期(4-7世紀)の遺構の壁面装飾の採取については、未確認の初期遺構が、アルメニア共和国内に一定数残存することが確認されたため、次年度以降引き続き調査する方向で調整することとした。また、次年度以降の研究協力及び調査許可に関しても、アルメニア共和国文化省と現地研究者の協力を得ることで合意を得た。 なお、上記の調査成果の一部は、2009年度日本建築学会関東支部研究報告集等に報告されている。
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