Co系合金にはNi系と比べてGCP (Geometrically Close Packing)相の存在は少ないが、最近、3元化合物でL1_2相が出現することがわかってきた。本研究は、Coと3B族、4B族、4A族、5A族、6A族の組み合わせの3元系合金におけるCo_3X型GCP相及びCo_2Xで表されるラーベス相を中心とした金属間化合物の相安定性の実験とそれに基づく解析を行うことを目的として行った。 実験的に決定したCo-Ta2元系の相平衡に基づき、CALPHAD法による熱力学解析を行った。前年度の実験により、C15、μ相などの金属間化合物の相境界が過去の報告から修正されている。これらを反映させた解析を行って熱力学パラメータを決定した。また、準安定γ'相については第一原理計算により求められた生成エンタルピーを用いてγ/γ'に関する熱力学解析を行った。さらに、Co-Ta-W、Co-Ta-Moの3元系の熱力学解析も行った。また、L1_2相、D0_<19>相、D0_<22>相、Cu_3Ti型構造とe/a、メンデレーエフ数の関係を、既に報告されている化合物も含めて考察を行った。これらのパラメータにより全ての化合物の相安定性が整理できる訳ではないが、化合物探索の指標として用いることができると考えられる。最後に、ビッカース硬度計を用いて室温における硬度測定を行った。様々な熱処理条件を行って試験した結果、特にCo-W-Ta、Co-Mo-Ta系において600Hv近い高い硬度を示すことがわかった。
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