研究概要 |
本年度は、Zn_6Sc単結晶の放射光X線回折により得た散漫散乱プロファイルから相関距離を求めることで4面体の短距離秩序の発達過程について詳細な知見を得ることを目的に研究を行った。実験方法は、フラックス法により作製した単結晶を用いて、放射光X線(ESRF,BL02)により転移点より高温側での散漫散乱についてロッキングカーブを測定した。得られたロッキングカーブをPseudo-Voigt関数を用いてフィッティングし、ピーク位置と半値半幅を求めた。 超格子反、射位置1/2,11/2,2で観測した散漫散乱プロファイル及びそれから求めた相関距離の温度依存性から、転移点(157K)に向かって短距離秩序が発達していく様子が明瞭に観測された。転移点直上の160Kでの相関距離は1130Aにも達し、これは[100]方向に82個の4面体の配向が規則化していることに相当する。以上から、157Kにおける単斜格子への不連続な格子歪みは、この長距離にわたる4面体配向の相関発達の結果、立方格子が維持できなくなり不連続に起こったものとして理解できることが分かった。
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