研究課題
申請者は上記研究において-カーバイド型化合物Fe3Mo3N及び(Fel-xCox)3Mo3Nの合成に取り組み、包括的な物性評価を行った。Fe3Mo3Nはこれまで合成報告がなされていたものの、物性は殆ど知られていなかった。申請者らの研究により、本化合物は極低温まで磁気秩序しない一方で、電気抵抗率が温度の5/3乗のべきに従い、比熱を温度で割ったC/Tが-logT的に発散する非フェルミ液体的な挙動を示すことを明らかにした。これは、本物質が三次元量子臨界点近傍の物質であることを示唆しており、実際、Coとの混晶により強磁性(最大20K)が発現し、また磁場中で遍歴電子メタ磁性転移を起こすことも明らかにした。しかし、得られた磁場、組成、温度相図は、従来知られている遍歴電子強磁性体のものとは異なり、磁場誘起強磁性相と不純物誘起強磁性相が完全に分離している。Fe3Mo3Nは中性子散乱の結果反強磁性的な相関が発達しており、この異常な相図は、Fe3Mo3Nにおいて強磁性長距離秩序がフラストレーションにより抑制され出現したものと考えられる。また関連物質の探索も行った。混合ガス窒化法は適用できる元素が限られており、より直接的な窒化法として熱間等方圧加圧法に着目し、金属の直接窒化によりFe3W3N及びFe6W6Nが合成できることを明らかにした。それぞれは遍歴電子磁性体であり、Fe3W3Nは110Kで強磁性転移し、Fe6W6Nは75Kで反強磁性転移することを明らかにした。
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