生体用Ti合金として期待される4元系Ti-Nb-Ta-Zr合金単結晶の弾性特性に対して研究を行った。その結果、室温付近でのせん断弾性率c'およびc44の軟化がTi-Nb-Ta-Zr合金の多結晶ヤング率の低下の原因であることが明らかとなった。ω相の生成は室温付近でのc'およびc44の温度依存性を変化させ、さらに室温でのc'およびc44を増加させるため、室温での多結晶ヤング率を増加させる。しかしながら、相安定性が低くc'およびc44の低いβ相マトリックス中にω相が生成した場合は、それほど大きな弾性率増加は生じず、2元系Ti合金の下限値に近い値を示す。そのため、Ti-Nb-Ta-Zr合金における少量のω相の生成は、低ヤング率を保持しつつ、高強度化を図るための微細組織の制御に有効である。
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