研究課題
血管内治療に用いる金属ステントは、体への負担が少なく即効性および短期的成績は良好だが、留置後の再狭窄が問題となってきた。前年度に引き続き、問題の改善に向け、生体適合性・血液適合性に優れたDiamond-like carbon :以下DLCおよびフッ素添加DLC(以下F-DLC)を使用し、新規ステントへの応用を目指す。今年度は以下3点に取り組んだ。すなわち、1)F-DLCに対する、細胞接着関与蛋白質の吸着様式評価F-DLCでは各タンパク質の吸着量は減少し、アルブミン/フィブリノーゲン吸着量比は増加した。細胞接着部位に発現するビンキュリンの観察したところ、F添加したものではビンキュリンの発現が少なくなっていた。2)断片化F-DLC被覆疑似薬剤含浸ポリマーの徐放特性評価断片サイズを振り分けたクルクミン含浸基板(PU,EVA,MPC)を各々疑似体液に140日間浸漬し、各基板の徐放特性を評価した。各々の基板において、被覆なしの基板では初期にほとんどの薬剤が放出される傾向が見られたが、被覆面積を調節することにより、放出速度を制御できた。3)bFGFの血管壁細胞に対する反応性評価含浸薬剤を選択するにあたり、現在機能的血管新生増殖因子として注目されているbasic fibroblast growth factor (bFGF)を用いて、bFGFの濃度による細胞増殖の影響を検証した。血管壁細胞(HUVEC、HVSMC)を播種し、bFGF濃度を0~100ng/mlの範囲で振り分け、各濃度の細胞増殖および遊走反応を評価した。HUVECは10ng/mlをピークとし、濃度依存性に細胞は増殖および遊走したが、HVSMCでは、各濃度で増殖に有意差を認めなかった。
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Diamond and Related Materials
巻: 20 ページ: 902-906
New Diamond
巻: Vol.27 ページ: 66-77
Surface and Coatings Technology
巻: (on line)(査読済)