研究概要 |
ホプキンソン棒(直径6mmのマルエージング鋼製の長さ600mmの2本の弾性棒)を利用した衝撃押込み硬度試験装置の設計・開発を行なった。先端に正四角錐形状のダイヤモンド(超硬合金)圧子を装着した入力棒と、出力棒の間に挟まれた円柱状試験片(直径6mm,長さ6mm)の衝撃圧縮により、衝撃押込み硬度試験を行なった。試験片に作用する衝撃圧縮荷重については、出力棒に透過するひずみ(ひずみゲージにより測定)×出力棒の断面積(=28.26mm^2)×出力棒のヤング率(=182GPa)から求めた。また、試験後に試験片表面に残っている圧痕の対角線長さを顕微鏡により計測し、その計測値と衝撃圧縮荷重の最大値を、通常の静的な押込み硬度評価式に代入し、「衝撃押込み硬度」を決定した。試験片として、3種類のアルミ合金Al6061-T6, Al2017-T4, Al7075-T6を用いた。現在までに得ている結果をまとめると、以下のようになる。 1. 入力棒先端に反力質量(SUS304;直径30mm,長さ50mm)を取付けることにより、試験片に対して繰返し圧縮負荷するパルスを回避することができ、初期の圧縮負荷パルスのみによって生じた初期圧痕を試験片表面に残すことに成功した。 2. すべてのアルミ合金において、衝撃押込み硬度の差はほとんどない。 今後は、本試験装置を用いて、他の延性材料(鉄鋼,チタン合金,工業用純チタン)そして、脆性材料(ソーダガラス,アルミナ)についても「衝撃押込み硬度」を決定する予定である。また、インストロン試験機を用いてこれら材料の静的押込み硬度を求め、押込み硬度に及ぼす負荷速度の影響を定量的に明らかにする予定である。
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