研究概要 |
昨年度開発したホプキンソン棒(直径6mmのマルエージング鋼製の長さ600mmの2本の弾性棒)を利用した押込み硬度試験装置を用いて、鉄鋼,3種類のアルミ合金A6061-T6, A2017-T4, A7075-T6の衝撃押込み硬度を測定した。また、インストロン試験機を用いて上記材料の静的押込み硬度を求め、それと「衝撃押込み硬度」とを比較することにより、押込み硬度に及ぼす負荷速度の影響を定量的に明らかにした。同時に、上記材料について、現有のホプキンソン棒法試験装置により衝撃圧縮応力-ひずみ関係を、インストロン試験機により静的圧縮応力-ひずみ関係をそれぞれ決定し、流動応力(塑性域における応力)のひずみ速度依存性を調べた。現在までに得ている結果をまとめると、以下のようになる。 1.すべてのアルミ合金において、衝撃押込み硬度と静的押込み硬度の差はほとんどなく、負荷速度依存性はほとんどないことが確認できた。これは、本試験で用いたアルミ合金の圧縮流動応力に及ぼすひずみ速度依存性の傾向(非依存性)とよく一致している。 2.鉄鋼において、衝撃押込み硬度は静的のそれよりも20%程度大きくなった。これは、本試験で用いた鉄鋼の圧縮流動応力に及ぼすひずみ速度依存性の傾向(正の依存性)と完全に一致する。 3.衝撃押込み硬度試験によりできた円柱状試験片の表面の「くぼみ」形状と、静的押込み硬度試験によりできたそれを巨視的に観察した結果、両材料とも顕著な差は認められない。今後、上記材料の押込み硬度に及ぼす負荷速度の影響を微視的立場から考察する予定である。
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