新規省エネルギー窓材ならびに光学デバイス応用等が期待できるエレクトロクロミック調光ミラーガラスの技術開発に関して本研究を実施した。当該デバイスはマグネシウム系合金薄膜を用いた調光ミラー層中に水素イオンを出し入れすることにより、金属(鏡)状態⇔半導体(透明)状態の変化が生じる。この鏡⇔透明の変化(スイッチング)を利用することで、光学特性を切り替えることが可能な窓材ならびにスイッチングデバイスに応用できる。円滑な水素イオンの移動のため当該デバイスは触媒層としてパラジウム薄膜(厚さ4nm)を用いており、実用化および普及のためには高価で資源として乏しいパラジウムを削減・使用しない技術開発が必要である。そこで昨年度は調光ミラーデバイス用パラジウム触媒の使用量削減に主眼を置き、作製方法としては直流マグネトロンスパッタ法を用い材料、組成、成膜条件の探索を行った。薄膜の膜厚作製ならびに第2元素添加による材料使用量削減の知見を得、本年度はパラジウム代替触媒として同様に水素透過性能を有する材料の触媒層への適用可能性について検討を行った。一例として、水素透過性能が知られているジルコニウム-ニッケル系合金をターゲット材として用い、本合金を使用した当該デバイスの作製を行った。様々な成膜条件ならびに諸特性の検討結果から本合金を含むデバイスの特性として、スイッチング速度と最大透過率にトレードオフの関係があることを見出した。たとえば、合金使用量に応じてスイッチング速度は速くなるが最大透過率は低下した。本研究に関わる成果として国際学会にて発表、ならびに論文投稿2件を行った(1件発行済み)
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