コロナ帯電処理によりガラスに微細な屈折率分布を転写するためのテンプレートとして、新たにフォトレジストをテンプレート形成材料として使用できることが明らかになった。これにより、従来のホログラフィや微小球の配列構造を利用したテンプレートに比べ、より自由な構造を高いSNで転写出来るようになった。そのため、共焦点レーザ顕微鏡を用いた詳しい観察が可能となり、コロナ帯電処理時に、ガラス基板がテンプレートでマスクされていない部分の屈折率が、マスクされていた部分の屈折率に比べて低くなっているということを明らかにすることが出来た。 更に、その屈折率分布転写ガラスをケミカルエッチングすることで、コロナ帯電処理時にガラス基板がテンプレートでマスクされていなかった部分(屈折率が低かった部分)が、マスクされていた部分に比べて速い速度でエッチングされることが分かった。この選択的なエッチングは表面から深さ150nm程まで起こることから、転写されている屈折率分布の深さを見積もることができた。本実験事実はメカニズムを考察するうえで大変意義深い発見であり、学会での報告を行った。 また、ガラス内部の屈折率変調度向上に向け、LaやAg等のドープ実験を実施した。転写構造の回折効率により評価したが、現段階ではその向上は確認出来なかった。その一方で、本実験の中で、構造転写を行ったガラス表面に粘性の高い水溶液をコートすると、乾燥していく中で、ガラスの転写構造に合わせてフィルム表面がレリーフ状に自己形成するという新奇な現象を発見した。これまでに、深さ1μm以上のレリーフが形成可能であり、それにより回折効率を100倍以上に増幅可能であることが明らかになった。単純なプロセスで微細構造を形成可能であることから、新たな加工プロセスとして1件の特許申請を準備中であり、また、1件の国際会議で発表を行った。
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