研究概要 |
3年度目となる本年度は、1年度目・2年度目に行ってきた、コロナ帯電処理によるガラスへの屈折率分布の転写に関する知見をもとに、以下の内容を実施した。 1.様々な構造テンプレートを用いた転写を行い、光損失低下への有効性を検証 2.より光損失を低下するための手段について検討 3.応用に向けて、大面積をコロナ帯電処理するためのコロナ帯電装置を設計 その結果、以下のようになった。 1.構造テンプレートの周期が大きくなるにつれ、コロナ帯電処理によるガラスの屈折率低下量が大きくなることが分かった。これにより、コロナ帯電処理部分とマスクされた未処理部分との屈折率変化は、1年度目の10^<-4>オーダー以下から10^<-3>オーダーまで向上させることができた。これにより、可視波長域での透過率計測で、光損失の低下を確認できた。 2,1.の実施結果として光損失を低下できた反面、従来、構造性反射防止に用いられてきた、サブ波長構造のような微細なパターンの転写では、コロナ帯電処理だけで十分な屈折率変調を得ることは困難であると判断された。更に光損失を抑える手段として、1.の屈折率変調と、ガラス表面の形状変化の組み合わせについて検討した。ガラス表面の形状を変形させる方法として、屈折率変調パターンが転写されたガラスを急加熱することで、そのパターンに対応してガラス表面が凹凸化するという現象を見つけることができた。 3.応用に向けた大面積処理のため、電極に金属ワイヤーを用いた大型コロナ帯電処理装置を作製した。これまでの実験では20mmφ程度だった処理領域を、100mm角の領域に対して均一に処理することが可能となった。
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