研究課題
本研究課題は超音波原子間力顕微鏡(UAFM)の物性と欠陥評価をセンサ用薄膜等に適用して有用性を実証することを目的としており、そのため申請者の所属するグループで開発中の球状弾性表面波(ボールSAW)センサに用いる燃料電池関連ガス用の水素ガス感応膜への適用を進めている。水素ガス感応膜としては一般にPd系の金属薄膜が高感度であることが知られているが、燃料電池の動作環境においては共存する水蒸気がPd感応膜を劣化させることが問題だった。このため水蒸気に耐久性のある感応膜が求められている。その結果、水溶液法で作製した半導体のZnOナノロッドがPt触媒と組み合わせることで有用な感応膜になることが報告された。そこで平成21年度はマグネトロンスパッタリングによりボールSAWセンサにZnO/Pt複合感応膜を作製して、水蒸気への耐久性のあるZnO系感応膜の開発を行いUAFMの評価を適用する試料準備を行った。まずボールSAWセンサに厚さ20nmのPtまたはZnOを成膜して単体では水素感応膜にならないことを確認した。次に表面に厚さ5nmのPt膜を持つZnO/Pt複合感応膜を成膜したが、厚さ20nmのZnOでは水素に対する応答が無かった。しかし厚さ200nmとすることで応答時間に長時間を要するものの大きな振幅応答(ノイズレベルから検出限界を評価すると1ppmよりも高感度)が得られた。次年度のUAFMによる組織評価によりその原因を調べる。更に感応膜の水蒸気に対する耐久性を調べるために加湿器(バブラー)を試作して実験した結果、ガス配管のリークにより水槽の水が逆流して感応膜に水が付着した。乾燥後再度測定した結果、水付着前と同程度の検出限界を示したことから水蒸気に対する耐久性も間接的に示された。このように感応膜の準備に目途が得られたので今後UAFMによる評価を実施して水蒸気による影響を詳細に検討する。
すべて 2010 2009
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Japanese Journal of Applied Physics 48(7)
ページ: 07GG12-1-3
ページ: 07GG13-1-6
Proceedings of Symposium on Ultrasonic Electronics 30
ページ: 79-80