研究課題
非晶質シリコン(a-Si)膜を、ミリ秒の桁の瞬間熱処理であるフラッシュランプアニール(FLA)で結晶化することにより、安価なガラス基板に熱損傷を与えることなく、太陽電池用高品質多結晶Si (poly-Si)膜を形成するアプローチにおいて、本研究では、あえて欠陥密度の高いスパッタa-Si膜を前駆体として用いることで、欠陥を介した固相結晶化を促進するとともに、化学気相堆積(CVD)法と比べて安価で安全なプロセスを実現するための基盤技術を確立することを目的とした。本年度は、スパッタa-Si膜を用いた場合の結晶化機構、および形成されるpoly-Si膜の微細構造について、詳細に検討を行った。結晶化は、横(面内)方向に進行しており、分散フラッシュランプ光によりpoly-Si膜表面に形成される縞模様の間隔から、その結晶化速度は、4m/s程度であることが見積られた。また、断面透過電子顕微鏡像から、100nm以上の比較的大きな結晶粒を含む領域と、10nm程度の微小結晶粒のみからなる領域が、約1μm周期で、結晶化方向に交互に出現することが明らかとなった。これらの傾向は、CVDにより形成したa-Si膜を前駆体に用いた場合と顕著な差異がなく、スパッタa-Si膜を用いた場合でも、CVD a-Si膜を前駆体とした場合と同様の微細構造を持つpoly-Si膜が形成されることが明らかとなった。さらに、スパッタa-Si膜を用いると、Cr密着層を用いなくても,FLA時のSi膜の剥離を抑制できることも分かり、スーパーストレート構造の利用など、太陽電池プロセスの選択肢が大きく広がる可能性がある。
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Proceedings of the Seventh Thin-Films Materials and Devices Meeting
ページ: 110107015-1-110107015-5
Journal of Nanoscience and Nanotechnology
巻: (掲載確定)
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