研究概要 |
界面ナノ構造解析と局部特性評価に基づいた高信頼性アルミニウム/鋼異材接合プロセスを構築することを目的とし,2009年度には界面ナノ構造解析には透過電顕観察を,その特性評価にはナノインデンテーションならびに微小引張試験を適用し,界面ナノ構造の原子レベル解析ならびに界面ナノ構造が局部的な継手特性に及ぼす影響および微視的な破断機構を基礎的に検討した.電顕観察により6000系アルミニウム合金/鋼接合では拡散接合によりFe側およびAl側にはそれぞれAl_5Fe_2, Al_3Feの2元化合物が形成した.一方,アルミニウム合金にSiやCuを添加することでAl側の反応層にはそれぞれ添加元素が濃化していることがEPMA分析において確認された.そして界面部の透過電顕観察によりAl側の反応層はAl-Fe-Si(+Cu)3元化合物であることがわかり,添加元素により形成される界面反応層の結晶構造が変化することが明らかになった.ナノインデンテーション試験により反応層内では母材に比べて著しく硬さが増加することが確認され,Al側においては添加元素により反応層硬さが減少することが明らかとなった.さらに脆弱な斜方晶系のAlリッチ化合物(Al_5Fe_2, Al_3Fe)に比べ,立方晶系のFeリッチ化合物(AlFe_3, AlFe)の硬さが小さいこともわかり,接合界面で形成されたAl-Fe-Si(+Cu)3元系化合物は,Feリッチ化合物に性質が類似していくものと考えられた.微小引張試験結果より,界面で形成されるAl-Fe系金属間化合物,特にAlリッチな組成を有すものは非常に脆弱であることがわかり,反応層内部で塑性変形を起こすことはほとんどなく破断に至るものと考えられた.またマクロ的な接合界面のその内部では,機械的性質は大きなばらつきを示すことも明らかとなった.
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