高速変形時と静的変形時の強度差は静動差と呼ばれ、実用上その値は大きいことが望まれる。本研究では、高マンガンTWIP(Twinning Induced Plasticity)鋼の静動差の向上を試みた。種々の金属組織を有するTWIP鋼を作製し、最大10^3/secまでの各種ひずみ速度の引張試験を行った。完全再結晶組織を有する場合、平均結晶粒径の減少に伴い高強度化するが、静動差は減少する。一方で、粒径1μmの再結晶組織中にラメラ状転位組織を導入すると、強度と静動差の同時向上を達成できた。変形後の組織観察により、変形双晶の有無と静動差の増減が対応することが明らかとなった。
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