研究概要 |
平成21年度は,既存のフォトリソグラフィー技術を用いずに,物質固有の自己組織化能を最大限に活かし,高精度にナノ・マイクロスケールでAl表面に微細構造を制御するプロセスの開発に努めた。本年度はマスクとしてAl基板上に形成したポリスチレン微粒子の自己集積膜を利用し,多段階アノード酸化プロセスによりナノ・マイクロメートルオーダーの規則的な周期を持つ二次元酸化物パターンの形成法を確立した。作製した二次元酸化物パターンをマスクとして塩化物イオンを含む電解液中でアノード電解エッチングを施し,制御された空間での電気化学反応に関して基礎的な知見を得た。具体的には,二次元酸化物パターンをマスクとしたAlの電解エッチングにより,ピットの発生位置をマスク開口部位に位置選択的に誘導できることを確認し,当該成果を論文で発表した。単純なネガ・ポジの転写プロセスに留まらず,様々な湿式プロセスを組み合わせることで,マスター構造から二次元の位置情報のみを抽出し,多様なパターンあるいは高次構造を生み出すことが可能であるため,Al以外の材料への発展性を継続検討中である。
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