研究概要 |
Alの(100)面に成長するトンネル状のエッチピットは通常ランダムに発生するため,素地の不純物元素やエッチング液組成などを改良した現行の方法においても拡面効率は理論値に及ばず,電解コンデンサーの高容量化を阻む課題点の一つとして拡面効率の増加が求められている。本研究で作製を意図するハニカム状の酸化物パターンを用いれば,エッチピットは露出した金属部に選択的に発生し,かつ規則的な最密充填構造を形成することでピット同士の連結をも防ぐことが予測される。平成21年度の研究において基本プロセスはほぼ確立したため,平成22年度はパターンの規則性を高度に制御することに加え,大面積で構造転写することを重点課題として条件の最適化に取り組んだ。微粒子の自己秩序化構造の形成に関しては,従来の移流集積条件の最適化に加え,前年度購入したスピンコーターを導入しマスク作製の高精度化を達成した。加えて,Al上に作製した二次元ハニカム状酸化物パターンをアノード電解エッチング時のマスクとして活用し,塩化物イオンを含む電解液中でエッチングを施し,電解エッチング時に発生するピットの位置をマスク開口部位に位置選択的に誘導できることを確認した。本手法は,マスター構造(微粒子の自己秩序化構造)が持つ二次元情報を他の物質に転写する構造転写プロセスであるが,アノード酸化以外にも様々な湿式プロセスを組み合わせることが可能であり,初期パターンとは異なる多様なパターンあるいは高次構造を生み出せる。加工対象としてAl以外にはSiや化合物半導体においても本手法が適用できることを確認し,関連成果を論文,学会などで発表した。
|