研究課題
I-III族チオラート、遷移金属カルボン酸およびTiチオラートの合成を行い、I-III-VI_2(CuInS_2(CIS)、AgInS_2(AIS))ナノ粒子、遷移金属複合酸化物(NiCr_2O_4)およびTiS_2ナノ粒子の合成を試みた。【I-III-VI_2】Cu-Inチオラートの熱分解により、粒子サイズがおよそ2nm程度のカルコパイライト型CISナノ粒子を得ることが出来た。Cu-Inチオラートに配位力の強いアミンを添加することで、wurtzite構造を持つCISナノ粒子の合成が可能であった。一方、Ag-Inチオラートの熱分解では、Agコアの周りにデンドライド状のAISが析出したAg/AIS複合粒子が生じた。【遷移金属複合酸化物】Ni-Cr-オクタン酸塩は、200℃付近から分解反応がはじまり~560℃以上でNiOおよびCr_2O_3が生じ、反応温度の増加とともにNiCr_2O_4の回折線ピーク強度が増加していった。オクタン酸塩の焼成により数十~数百nmオーダーのNiCr_2O_4微粒子を得ることが可能であった。不純物カーボン濃度を測定した結果、0.008%程度と高純度な酸化物粉末を得ることができた。【TiS_2】TiCl_4およびイオウを混合することで、Tiチオラートを合成し熱分解を行った。この結果、褐色の析出物が得られたがXRDパターンからTiO_2と同定された。本方法により高品質なナノ粒子の大量合成が可能であることが示された。I-III-VI_2系では、結晶構造の制御や異相構造を持つナノ粒子の合成が可能であり、これは光電変換材料として非常に有望である。また遷移金属複合酸化物ナノ粒子は高純度であり焼結性も優れていた。希土類およびチタン系はチオラート化合物が不安定であり、安定化させることで希土類硫化物やTiS_2の合成が可能になると考えられる。
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Journal of Materials Chemistry 20
ページ: 2226-2231
Processing Materials for Properties, (Ed.By B.Mishra, A.Fuwa, P.Bhandhubanyong)(TMS)
ページ: 851-855