研究課題
本研究は、めっき加工材料の表面形状や特性変化が生体機能に与える影響を明らかにすることを目的としている。その手段として、ヒト培養細胞を用いたin vitroアッセイ系を構築し、めっき加工材料の加工法や組成を変化させ、それらを作用させた時の細胞機能の変化を比較検討した。めっき加工材料は、ほとんどの場合、水(溶液)との接触や浸漬された時に生じる金属腐食が問題となっている。そこで、めっき加工材料を緩衝液に浸漬して溶出液を作製し試料とした。血液由来の未分化細胞を利用し、金属種が異なる複数種のめっきについて細胞増殖ならびに生存率を比較した結果、ニッケルめっきについてのみ増殖が有意に抑制され、生存率も大幅に減少していた。そこで、ニッケルの金属組成(含有率)を変更したところ、組成変化によって金属構造およびニッケルの溶出特性が変化したばかりでなく、細胞増殖の程度も変化した。ここで、細胞の分化抗原量を測定したところ、発現量は細胞増殖の変化に対応することが分かった。纃帯由来間葉系幹細胞を利用し、細胞の代謝活性ならびに生存率の変化を指標としたin viotroアッセイを実施した。結果、生存率に差は確認されなかったが、ニッケルめっきにおいて代謝活性が減少していた。以上により、めっき加工材料の表面構造の変化は溶出特性に変化を与えるばかりでなく、細胞機能の変化を誘導することが分かった。さらに、細胞機能変化の検出系は、ニッケルめっき加工材料の表面構造変化を検出できる可能性があることが示唆された。
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ISIJ International
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鉄と鋼
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Proceedings of the 21st Annual Meeting of the European Society for Aal Cell Technology, Dublin, Ireland, June 7-10, 2009
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