研究概要 |
鋳造・接合技術の向上に寄与することを目的とし,振動下における溶融合金(溶湯)の充填性向上に関する基礎研究を行なった.振動下において溶湯(固液共存状態)の充填性が向上する機構を明らかにし,効率的な応用技術を確立するため,金属溶湯の代わりにシリコーンオイル(透明かつ室温で凝固しない液体)を用いて超音波振動下における液中固体表面の圧力変動の調査を行った.レーザ光とパワーメータにより液中の物体表面でのキャビテーション気泡群の発生挙動を検出し,ロードセルにより物体表面近傍のキャビテーション気泡群が物体表面に実効的な圧力を及ぼしていることを確認し,キャビテーションの発生規模と液中物体に働く力との関係を評価した.また,マノメータを振動端近傍に設置して拡大鏡ビデオ観察を行い,キャビテーション状態(規模,形,位置)と,マノメータ管内に掛かる液圧との関係を調べた.本実験は,雰囲気圧力を変化させることによりキャビテーションの生成を制御して行った.本年度に得られた基礎的知見は,音圧とキャビテーションによる局所的な圧力コントロール技術の確立に不可欠なものと位置づけられ,学術誌への発表に向けた準備を進めている.次年度は,キャビテーションの発生挙動(高分解能マイクロフォンで収集し弁別)および,振動が半凝固状態の溶湯(液相中に固相が分散)に直接及ぼす機械的作用に着目し,溶湯凝固過程における振動印加による流動性向上および鋳造組織の制御について評価する予定である.溶湯を入れた金型を外部からの振動印加によって共振させる実験系を現在製作中である.
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