研究概要 |
(1)単層ナノ粒子薄膜形成のための基板処理技術の確立」 基板処理として、OH終端処理を行ったSi基板にストーバー法を用いて、3-Aminopropyltriethoxysilaneを単層吸着させ、表面にNH2終端を形成させた。その後、3,4-Dihydroxyhydrocinamic acid(DHCA)のカルボン酸と表面のNH2を脱水縮合させることで、DHCAを単層吸着させた。 用いたナノ粒子は、有機溶媒中での分散性を高めるために、Decanoic acidで終端してあるが、酸化物表面への吸着平衡の違いから、DHCAはDecanoic acidと交換してナノ粒子と結合ことが赤外分光から分かった。基板とナノ粒子間の間に化学結合を持たせるために、このLigand交換反応を局所的に用いた。基板上にナノ粒子を単層固定化し、ナノ粒子上に物理吸着したナノ粒子を溶媒で洗浄することでナノ粒子の単層薄膜を得た。陽極酸化アルミナ基板などポーラス基板へも同手法を適用していく予定である。 (2)「ナノ粒子の吸着量の制御」 ナノ粒子第2層と比べて第1層の密度が低いという問題があった。第2層では、粒子同士の相互作用により配列化が起こっているが、第1層では基板と強固に吸着してしまい粒子同士が配列できないからである。 第1層の吸着粒子の密度を増大させるために、ナノ粒子を多層吸着させた基板に溶媒アニールを行った。Tetrahydrofuran(THF)蒸気中に基板を置き、40℃にして15時間アニールさせた。アニール後、表面のラフネスが減少し、長周期のオーダーが観察された。また、第1層目の粒子吸着量も増大したことから、溶媒アニールによって第1層目のナノ粒子の移動が示唆される。Cyclohexane蒸気での溶媒アニールでは、際立った変化が見られなかった。これは、DHCAがCyclohexaneには、不溶であることから、第1層目のナノ粒子の移動が起こらなかったことと関係すると考える。今後、X線回折による巨視的配列化の定量測定を行う予定である。
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