(1)「ALDによる吸着ナノ粒子へのコンフォーマルコーティング」 ALD法の特徴として、表面でのSelf limit reactionとコンフォーマル性の高さが挙げられる。また、原理的にALDはOH終端表面などの親水表面にのみ均一な薄膜を堆積できるという特徴がある。そのため、有機溶媒への分散性を高めるために疎水化処理を施した酸化鉄ナノ粒子表面へコンフォーマルコーティングを行うには、ナノ粒子表面の親水化処理が必要である。そこで、親水化のために、プラズマ処理を行った。プラズマ処理時間は、30分から5時間行った。光電子分光法による分析によると、プラズマ処理30分行うと、総炭素量が10分の1になった。処理時間を5時間にしても総炭素量は処理時間30分の場合と変わらず、Fe3O4からFe2O3へと変化していることが分かった。 (2)「酸化鉄ナノ粒子のカーボンナノチューブ成長触媒能の評価」 酸化鉄ナノ粒子のカーボンナノチューブ成長触媒能の評価を行った。プラズマ処理を行う前は、カーボンナノチューブ成長触媒能が見られなかった。高温アニールを行っても還元雰囲気中であることから、炭素が表面に残っている可能性がある。プラズマ処理を行った後でも、全ての酸化鉄ナノ粒子からカーボンナノチューブが成長しているわけではないことが分かった。一つの理由として、酸化鉄の還元が完全に起こっていないことがあげられる。今後、アルミナのコンフォーマルコーティングを行うことで酸化鉄の還元を促進させ、酸化鉄ナノ粒子のカーボンナノチューブ成長触媒能の向上を行う。
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