研究概要 |
亜臨界・超臨界水を含む混合系に適用可能となる,流通型の高温高圧相平衡測定装置を作製した.本装置では,微小流路における気-液,液-液相の混合を促進させ,迅速に平衡状態へ到達する特徴がある.さらに,分離部には,約2cm3の容積を有する平衡セルを駆使しているため,微量な試料での測定が可能となった.本装置を用いて,310-350℃における水+p-xylene系の気液・液液平衡の測定を行った.310℃における液液平衡の測定結果は,他の文献による実測データと良好な一致を示したため,本研究における測定装置ならびに操作手順の健全性を確認することができた.また,低圧領域に確認された気液平衡では,温度が上昇するに伴い,気相線が炭化水素リッチ側ヘシフトする挙動がみられた.液相線においては,温度が上昇してもほとんど変化がなかった.高圧領域に確認された液液平衡では,温度が上昇するに伴い,二相領域が小さくなる挙動がみられた.このように,定温下において,低圧領域に気液平衡が,高圧領域に液液平衡が生じる複雑な相挙動について,温度・圧力変化に伴う系統的な相平衡データを蓄積することができた.さらに,3次状態方程式を利用した相関では,状態方程式中のエネルギーパラメータの混合則に非対象型の指数型混合則を適用した結果,気液・液液平衡の両方について,実測データを再現することが確認された.
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