研究概要 |
亜臨界・超臨界水+炭化水素2成分系において,タイプの異なる相挙動を示す芳香族炭化水素を選択し,それら炭化水素の組み合わせについて,亜臨界・超臨界水+炭化水素混合油系の相平衡測定を行い,系統的なデータを蓄積し,その複雑な挙動について検証した. 300℃における水+1-methylnaphthalen+p-xylene系の相平衡測定結果を図2に示す.図2(a)のように,混合油における1-methylnaphthaleneの組成が大きくなるにつれて,低圧領域の気液平衡ならびに高圧領域の液液平衡の領域が大きくなることが確認された.さらに,圧力10MPa付近において,気液液三相平衡が確認された.また,供給混合油中の1-methylnaphthaleneの組成がモル分率0.75の場合,10MPa以上の高圧領域にみられる液液平衡において,圧力が上昇するに伴い,液液二相の上下逆転現象が確認された.圧力12MPaにおいては,上相に炭化水素リッチ相,下相に水リッチ相が形成されたが,圧力20MPa付近では,下相の水リッチ相が液滴となり浮遊し始め,圧力22MPaになると上相に水リッチ相が,下相に炭化水素リッチ相が形成された.これは,圧力上昇により水リッチ相における1-methylnaphthalene,p-xyleneの組成が変化し,炭化水素リッチ相と水リッチ相の密度が変化したためであると考えられる.350℃における測定について,低圧領域における気液平衡では,1-methylnaphthaleneの組成が大きくなるにつれて,二相領域が大きくなることが確認された.また,供給混合油中の1-methylnaphthalene,p-xyleneの組成が大きくなるにつれて,それぞれの水+炭化水素2成分系が形成する相挙動のType IIならびにType IIIaに類似した相挙動へ変化することがわかった.
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