本研究では、吸着法を用いた半導体や液晶製造に用いられるフォトレジスト廃液からの水酸化テトラアメチルアンモニウムの低コストかつ省スペースな分離・回収プロセスについて、エンド・オブ・パイプ廃水処理が可能なシステムを確立することを目的としている。平成21年度は、メソポーラスシリカの一種であるMCM-41吸着剤の開発と吸着機構の解明について研究を行った。MCM-41は、水熱合成により調製が可能であり、アルキル鎖長の異なる界面活性剤を用いることで、細孔径をある程度制御することが可能となった。また、MCM-41は、水酸化テトラアメチルアンモニウムに対する高い吸着能を有しており、吸着能は細孔径に伴い増加することが確認された。加えて、MCM-41による水酸化テトラアメチルアンモニウムの吸着は高pH域ほど高いことが示された。MCM-41による水酸化テトラアメチルアンモニウムの吸着等温実験を行ったところ、吸着はラングミュア型で進行していることが明らかとなった。以上の結果より、MCM-41による水酸化テトラアメチルアンモニウムの吸着は、化学反応を介した吸着メカニズムであることが示唆された。MCM-41は特に廃水のpHであるアルカリ領域において、高い吸着能を有していたことから、本研究の目的である水酸化テトラメチルアンモニウムの分離・回収プロセスへの適用性が高いものと期待できる。 また、MCM-41は粉末状で得られるため、カラム法へそのまま適用することは困難である。本研究では、アルミナ系のバインダーを用いて、MCM-41を造粒することを可能とした。今後は、カラム吸着法による水酸化テトラアメチルアンモニウムの分離プロセスに関する研究を進める予定である。
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