研究概要 |
本研究ではまず,mmオーダーの微小流路において,気相,油相,水相の3相からなるスラグ流を形成することでより液相総体積流量の大きな条件下で安定したslug流を形成することに成功した.気相の導入によるスラグ流の安定形成化の効果は流路サイズが大きくなるほど顕著に見られた.流路サイズが3mm,ボイド率(気相体積流量/全体積流量)が0.09, 0.17の場合,液液二相の場合に比べ,スラグ流形成可能な液相総体積流量が60mL/minから200mL/minまで増加した.流路サイズが大きくなるほどスラグ流は高流量でも形成されやすいので,部室移動速度との兼ね合いで極力大きな流路で操作を行うことで大量処理に対応することが可能になると考えられる. また,物質移動速度を最大化するボイド率が存在することも明らかにした.これは気相が導入されることで高流量でもスラグ流が維持できるため物質移動を速くする効果がある.しかし,ボイド率が大きくなると体積あたりの水相の界面積が小さくなるのに加えて,水相と気相の接触面積が大きくなり,液2相間の界面積が減少するため物質移動の効率が悪くなるためである.ボイド率が低くなりすぎると流れが安定しないため,スラグ流を安定に形成しつつ物質移動を促進できる最適なボイド率が存在する. さらに,流路径の影響を総合的に加味した物質移動速度と操作条件の関係を定量的に表現することができた.以上から高処理量の条件化で高速な物質移動操作が可能となり,このような操作を設計するための指針を得ることができた.
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