本研究では、環境適応型の機能性溶媒として期待されているCO_2膨張溶液および超臨界二酸化炭素中で形成される分子集合体において表面修飾ナノを合成し、これらを材料基板やバルク中で完全分散および配列化する技術について検討した。まず、ナノ粒子の分散および配列するための基盤技術として、ビニル基を有するシランカップリング剤により表面修飾を施した酸化チタンやシリカなどのナノ粒子表面からの超臨界二酸化炭素中でのグラフト重合について検討した。シランカップリング処理を施したナノ粒子を擬分散安定剤として用いることで、特殊な界面活性剤を用いることなく超臨界二酸化炭素中でもビニルモノマーの重合が進行した。得られた粒子は、分子量が数万オーダーのポリマーグラフト鎖を有する複合粒子であり、有機溶媒中においても安定に分散することがわかった。また、高圧二酸化炭素中でのナノ粒子の分散技術として、高圧下でも超音波キャビテーションの発生可能な高圧装置を試作することに成功した。本装置を利用することで、高圧二酸化炭素雰囲気下においても超音波キャビテーションの発生が可能であり、これらを利用したナノ粒子の分散プロセスの構築が可能であることを示した。本技術を利用することで、10μmオーダーの粒子径を有するタルク等の板状粉体のナノ粒子によるパウダーコーティングが応用可能であることを示した。これらをナノ粒子分散技術は、ナノ粒子の自己組織化を利用した材料合成の基礎技術として、今後の展開が期待できる。
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