研究概要 |
昨年度の検討によってニオブ酸類似の構造をもった二次元的なニオブ酸化物モノレイヤーがブレンステッド酸点の発現に寄与していることを明らかとした。本年度は,まずニオブ酸化物モノレイヤーの酸性質と酸点の構造について検討を行った。酸性質はピネンの異性化反応により、酸点周囲の構造については赤外分光法により検討を行った.ニオブ酸化物モノレイヤー上には1173Kで排気を行っても安定に存在するブレンステッド酸点が存在し、ニオブ酸化物モノレイヤー上のNb-OHまたはNb-OH-Nbの水酸基がブレンステッド酸点として働くことを見出した。また、ニオブ酸化物モノレイヤー上の水酸基は同じくブレンステッド酸点が存在することが知られている固体酸触媒である含水ニオブ酸上の水酸基とは性質が異なっていることがわかった.タンタル酸化物、タングステン酸化物、モリブデン酸化物についても担持量,焼成温度が酸性質に与える影響の検討を行ったところ、これら遷移金属酸化物についてもアルミナ上に遷移金属酸化物モノレイヤーが形成されることによってブレンステッド酸点が発現していることを見出した.従って,セラミックス表面におけるブレンステッド酸点の発現には,遷移金属酸化物モノレイヤーの形成が重要であることが示された.また、シトロネラール異性化反応と赤外分光法によりそれぞれの遷移金属酸化物の酸性質の違いについて検討を行ったところ,V族であるニオブ酸化物とタンタル酸化物上ではVI族であるタングステン酸化物やモリブデン酸化物に比べ、ブレンステッド酸点の酸強度が弱いことが分かった.
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