石油由来プラチックを代替でき、再生可能なマテリアル・ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の新しい発想に基づく生産プロセス開発が望まれている。そこで糖を原料とした無細胞PHA合成法を考案、本研究ではその合成法に適したモノマー供給酵素(R)体特異的NADH依存性Acetoacetyl-CoA reductaseの開発について検討した。本酵素開発は、NADPH依存性Acetoacetyl-CoA reductase (PhaB)の補酵素依存性改変およびNAD依存性(S)-Hydroxyacyl-CoA dehydrogenase (HAD)の立体選択性改変により行った。[PhaBの補酵素依存性改変](R)-3-Hydroxybutyrate dehydrogenase (HBD)はNADH依存的にAcetoacetateを(R)-3-Hydroxybutyrateへと還元する。このN末端側にはNADH結合ドメインであるRossman Foldが、その下流にはNADHと相互作用するDが保存されている。そこでBacillus sp.INT005由来PhaBと数種のHBDのアミノ酸配列をClustalWにて比較したところ、HBDにおけるDがPhaBのN38に相当することがわかった。PhaBのN38D変異体を作製し、大腸菌粗酵素液を用いて評価したところ、内在するNADH分解活性により変異の効果を正しく評価できないことがわかった。[HADの立体選択性改変]PHA synthase、thiolaseおよびPhaBを共発現させた大腸菌はグルコースからのPHA合成能を獲得した。しかしPhaBの代わりに2種のHADを導入した場合、PHA合成は確認されなかった。よって立体選択性の改変されたHADのスクリーニング法として利用できることが示された。
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