石油由来プラチックを代替でき再生可能なマテリアル・ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の新しい発想に基づく生産プロセス開発が望まれている。そこで糖を原料とした無細胞PHA合成法を考案し、本研究ではその合成法に適したモノマー供給酵素(R)体特異的NADH依存性acetoacetyl-CoA reductaseの開発を試みた。(1)NAD依存性(S)-hydroxyacyl-CoA dehydrogenase(HAD)はacetoacetyl-CoA (AcAcCoA)を(S)体選択的に還元する。その立体選択性を改変することで用途に適した酵素を開発できる。前年度の検討より、大腸菌にPHAsynthase、thiolaseおよびHADを導入してもPHAが合成されないことを確認している。そこで、大腸菌へPHAsynthase、thiolaseおよびランダムに変異を導入したHADを導入し、PHA合成を指標としてスクリーニングした。その結果PHA合成を示す変異体の獲得に成功した。現在はその詳細な解析を進めている。(2)AcAcCoA reductaseは4-halo-acetoacetate esterを(S)-4-halo-3-hydroxybutytate esterへ還元することが知られている。そこで(S)-4-halo-3-hydroxybutytate ester合成関連酵素を調査したところ、Geobacillus stearothermophilusにおいてNADHを補酵素とする酵素の存在が報告されていた。現在はその遺伝子を入手し(R)体特異的NADH依存性AcAcCoA reductase活性を有するか解析を進めている。
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