研究概要 |
当該研究では,抽出媒体としてマイルドかつ迅速に高効率で抽出が可能な超臨界流体を用い,さらにそのままオンラインで分析可能な酸化脂質のプロファイリングシステムの開発を目的としてオンラインSFE-SFC/MSシステムの構築とともに,酸化脂質メタボロミクスに有用な酸化脂質のライブラリーの構築についても取り組むことになっている. 本年度は,まずSFEのオンライン化のための抽出容器,プレカラム,分離カラム,配管等種々のシステム構成要素の精査および抽出・分析条件について検討した.試料としてカロテノイド生合成系遺伝子およびカロテノイド酸化開裂遺伝子を導入した大腸菌を用い,菌体中に含まれるカロテノイド酸化開裂の分析を試みた.各種条件の検討を行った結果,β-カロテンとともにその開裂産物であるβ-イオノンを感度よく検出することができ,通常,液体クロマトグラフィーとガスクロマトグラフィーで別々に分析が必要な両代謝物を同時に精度良く分析できた. また,本年度は生体サンプル内の酸化脂質の同定に利用可能な酸化脂質のライブラリーの構築にも取り組んだ.モデルリン脂質として1-palmitoyl-2-linoleoyl-glycerophosphatidycholine (PLPC)を用い,AAPH,過酸化水素,リポキシゲナーゼを用いて酸化リン脂質をインビトロ合成し,生成した酸化リン脂質をSFC/MSにより分析を試みた.PLPCの酸化物としてジヒドロキシ,エポキシ・ヒドロキシ,オキソ・エポキシといった既存のLC/MSでは分離が困難な各生成物の解析に成功し,それぞれの酸化脂質の分析条件を構築できた.
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