【目的】相互作用蛋白質のゲノムスケール大規模解析(インタラクトーム解析)により蓄積した膨大な相互作用蛋白質の機能解析法、特に相互作用が担う生物学的機能の解析法を開発する。と同時に、創薬の標的として有望な相互作用を標的とし、標的相互作用を競合阻害する(アンタゴニストとなりうる)、高結合型ペプチド断片を取得するためのスクリーニング法を開発する。これらにより、遺伝学における逆遺伝学に相当する「逆プロテオミクス」ともいうべき研究分野の開拓を志向する。 【達成状況】新規Y2Hレポーター遺伝子(糸状菌由来分泌型LacA)の開発と同レポーター遺伝子を用いた変異体ライブラリの定量的高速スクリーニング系を確立した。新規レポーター遺伝子の採用により、大規模変異体ライブラリー(10^6クローン)の高速定量的スクリーニングが安価・簡便に実施できるようになった(論文1)。これと平行して新規酵母キネトコア蛋白質複合体であるDam1複合体のサブユニット間相互作用ドメインの網羅的精密同定を行い、ドメイン発現によりDam1複合体の機能を特異的に阻害することを実験的に証明した(論文2)。同様の実験をオートファジー蛋白質に対して行い、ドメイン発現による相互作用阻害の様式や用量曲線などに関する知見を得た(論文投稿中)。スピンドルチェック蛋白質群の相互作用領域の同定、変異導入による高結合型変異体の取得を試み、ヒトMad2蛋白質に強固に結合する16アミノ酸残基からなるペプチド断片を加算的なスキャニング変異導入と上述の新規レポーターによる高速スクリーニングにより作出した(論文投稿準備中)。
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