研究概要 |
次世代航空宇宙推進用機関の1つとしてパルスデトネーションエンジン(Pulse Detonation Engine, PDE)が注目されている.実用化に向けた課題の1つにデトネーションの開始がある.デトネーションの開始には一般的にはデフラグレーションをデトネーションに遷移させるDDT (Deflagration to Detonation Transition)過程が用いられる.DDTによりデトネーション波を発生させる目的で燃焼器前半部に爆轟波管と呼ばれる径の小さな管を設置し,反応性の高いドライバーガスを充填する方法が考案されている.しかし,爆轟波管を用いた方式では管径の急拡大部においてデトネーション波が消炎するという問題が生じる.この為本年度は爆轟波管出口に円柱と円錐を組み合わせた形状の中子を設置することによって反射板以降の流路形状を環状に変更する.拡大する環状流路内の傾斜部で起こる円環デトネーション波から平面デトネーション波への遷移の過程を観察し,メカニズムを解明することを目的とした.15°,30°,45°,60°および90°の角度の円錐を用いて環状流路を徐々に広げることにより,膨張波の影響を抑えながら円環デトネーション波から平面デトネーション波へ遷移させることが可能であることを確認できた.円錐角度は小さいほど伝播促進効果が大きくなるが,45°以上の角度では伝播促進効果が確認できなかった.円環デトネーション波から平面デトネーション波への遷移はすべての角度で確認された.30°以上の角度では円錐根元での消炎が見られた.
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