研究概要 |
次世代航空宇宙推進用機関の1つとしてパルスデトネーションエンジン(Pulse Detonation Engine, PDE)が注目されている.実用化に向けた課題の1つにデトネーションの開始がある.この課題に対し,我々は『円錐形状反射板を用いたパルスデトネーションエンジン(PDE)イニシエータ』を提案している.昨年度は爆轟波管出口に円柱と円錐を組み合わせた形状の中子を設置することによって反射板以降の流路形状を環状に変更し,円錐部の角度を変更することによって,デトネーション波の伝播・消炎のメカニズムを観察したが,本年度はさらに円柱部の半径を変更し,流路幅5mmおよび10mmに加えて15mmおよび20mmの伝播限界および伝播形態を詳細に調査した.入射する円環デトネーション波は流路幅に関係なく,円錐角度が15°の場合では流路に沿って消えることなく伝播していたが,30°以上の角度では環状流路拡大部分でいったん消炎し円錐部分で再開始することによって円環デトネーションから平面デトネーションに遷移した.また,円環デトネーション波から平面デトネーション波へ消炎することなく遷移する場合の環状流路に存在するセルの個数と,円錐部分の角度αの関係を求めると,αが15°の場合は2.2個,30°の場合は3.2個,45°以上の場合は4.2個以上流路幅に対しセルの個数が存在すれば消炎することなく伝播することが確認された.デトネーション波の横波が進行方向に対して約40°の角度で伝播しているため,αが40°未満の場合は拡大部直後で円錐側面に衝突し反射の効果が得られる.αが40°以上の場合は円錐に横波が衝突せず反射の効果がえられないため,αが45°以上の場合に伝播限界のセルの個数が一定となっていると考えられる.
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