研究課題
【背景】宇宙用ロケットエンジンの一種であるイオンエンジンの更なる性能向上のためには、計算解析が極めて有用である。特にイオンエンジン推力発生部のイオン流れ(ビーム軌道)の計算解析は最重要であり、精緻に求解できることが必須であるが、その解精度の検証は断片的であり、不十分であった。研究代表者が近年開発を進めてきた2次元可視化イオンエンジン(VIT)は、従来唯一の評価方法であったビーム電流評価に加え、従来では不可能であったビーム軌道の撮像ができており、これを用いればビーム軌道解析の多角的な解精度検証を行えると着想した。【目的】本研究の目的は、より精緻な解精度検証によるイオンエンジンの性能向上に寄与させるため、可視化イオンエンジンの改良ならびに形状評価方法の改善を行い、精緻かつ詳細なデータを国内外に周知することである。初年度の研究目的は、精緻かつ詳細なビーム軌道の撮像データを取得できるように、2次元可視化イオンエンジンの大型化(VIT-2)および撮像方法の改良を図ることであった。【成果】VITの基本設計を踏襲して設計製作したVIT-2は約2倍の可視面をもち、磁場印加によるイオン生成部の改良および推力発生部の改良により、撮像対象となるイオンエンジンビームを大きくできることを作動により確認した。撮像方法の改善にイメージファイバを使用する予定であったが、視野角が大きいため鮮明な撮像が行えないと判明した。そこで視野角が0となるように撮像系を改良したところ、これまでビーム軌道の中心軸上2点の位置情報しか得られなかったのに対し、ビーム軌道の2次元形状・分布を鮮明かつ高解像度で撮像ができるようになった。これらにより、初年度の研究目標成果をほぼ達成し、次年度以降のビーム軌道解析の多角的な解精度検証を行える実験計測データ取得に見込みが立った。
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Transactions of the JSASS, Space Technology Japan Vol.7
ページ: Pb_29・Pb_34