【研究背景】宇宙用ロケットエンジンの一種であるイオンエンジンの更なる性能向上のためには、イオンエンジン推力発生部のイオン流れ(ビーム軌道)を精緻に求解できる計算解析が必須であるが、その解精度の検証は不十分であった。研究代表者が開発を進めてきた2次元可視化イオンエンジン(VIT)を用いれば、解析度検証に有意なビーム軌道の形状データを取得できると考えた。【21年度成果】VITの基本設計をもとに大型化したVIT-2を設計製作し、撮像方法の改良を図った結果、鮮明かつ高解像度でビーム軌道を撮像できる見込みが立った。【22年度成果】ビーム軌道に影響を与える生成プラズマの詳細な探針計測評価、イオンエンジン推力発生部の改良、光学計測系の改良等を行い、生成プラズマの制御およびビーム軌道形状の高精細データ取得ができるようになった。また計算解析結果との比較評価から、その形状データがビーム軌道解析の解精度検証に利用できることを確かめた。VIT-2を様々な条件にて動作させ、多くの撮像データを取得した。【23年度実績】取得した撮像データを作動条件ごとに整理を行った。またビーム軌道解析の検証データとして利用しやすくなるよう、ビーム軌道形状データの特異点(位置情報)を抽出した。これらのデータおよび解精度検証に必要となる作動条件・電流電圧値・プラズマ諸量をとりまとめたデータを、ビーム軌道解析を行っている研究者に広く利用していただけるよう、国際会議(3件)、国内会議(2件)、学術雑誌(1件)を通して報告し(国際会議論文および学術雑誌論文はインターネットを通じてダウンロード可能)、研究目的を達成した。
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