AUV(自立航行型水中ロボット)が自らの判断の下に海中で充電をするための仕組み作りが本研究の最終ゴールである。本研究助成で実施している研究内容は水中で電力を非接触で安全に受け渡しするための基本的な機器とその構成について検討を行い、その安全性や効率の向上を目的としている。相受電コイルはワイヤレスで電力を受け渡しするためのキーデバイスであり、それらの特性がそのままシステムとしての性能や効率に大きく影響する。 平成23年度は高周波インバータを効率良く運転するために不可欠となる共振周波数追従制御の改良を行った。本研究費補助の申請をする時点では、研究代表者が特許を持つCTBL制御手法を採用した高周波インバータを試作し、これを非接触給電用高周波インバータとして設計する予定であった。このCTBLとは共振周波数追従制御の新しい手法の1つである。この制御手法は高周波インバータの電力制御機能と競合しないため、1台の高周波インバータで複数の制御を同時に実現できる。しかし、申請後の研究課程で、CTBL制御手法に内在する実装上の細かな問題を解決しうる新しい制御手法(IZBL)が発見された。IZBLもCTBL同様、共振周波数追従制御手法の1つであり、安価なCTを出力端に1つ接続するだけでよい。実用化する上では、過電流保護やフィードバック電力制御のためにCTを取り付けるのが一般的であり、これを流用することができる。したがって、実装上新たな制御デバイスの追加が不要になる。このIZBLを実回路として設計する途中で、従来のアナログ回路では、制御回路の肥大化が問題となっていた。そこで、当該年度では、IZBLのディジタル化を進めた。これにより、アナログ回路と比較して半導体ICの利用数を1/10まで削減することができた。
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