研究課題
ラグランジュ差分法を用いた流体構造連成解析手法については、構造解析部分のコード実装をほぼ完了させることができた。反復アルゴリズムには当初、シンプルなニュートン法を用いる予定であったが、数値安定性を高め実用に供することを可能とするために、一般化最小残差法を組み込んだ。剛体円柱を用いた水槽実験では、昨年度に明らかとなった「渦放出固有成分と支持系固有成分との共存現象」を詳細に調査することに主眼を置いた。理論面では、過去に提唱した後流振動子理論を発展させる形で数理解析を実施し、うなり解の特徴を表現することを試みた。その結果、現理論は渦励振応答に見られる3つの分枝のうち2つを良く再現できるが、残りの1つに関しては良好に実現象を再現できないことが判明した。これを受けて、実験面では、これまでに使用してきたフーリエ変換に加えて、ヒルベルト変換も用いることにした。実験データをヒルベルト変換によって分析した結果、振幅変調と振動数変調を明解に抽出することに成功した。この結果は、上記の現象を単純に2固有成分の線形重ね合わせとして表現することはできないことを示しており、従来のうなり理論を修正する必要があることを認識された。上記の成果は、本研究が目指している「実用的な流体構造連成解析手法の開発」が8割方完了したことに対応しており、これは申請時の計画に沿ったものである。平成23年度には、作成した計算コードを多数のケースに対して適用して、実用性をさらに検証することを予定している。今年度はその基盤づくりを実施できた。
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Proceedings of 11th International Symposium on Practical Design of Ships and Other Floating Structures
ページ: 67-73
Proceedings of Techno-Ocean 2010
巻: (CD-ROM)