研究概要 |
近年,PCCの需要が高い.PCCやRORO船は水線面上構造物が非常に大きく,また喫水が浅い.このため風の影響を大きく受け,針路安定が悪く,斜航による当て舵航行することで抵抗増加を招いている.また上部構造物が大きいためバラスト水を大量に積んでもなお復原力不足という安全性の問題を抱え,かつ大量のバラスト水の積載は環境にも悪影響といえる.このような背景から,新形式トリマラン型PCCが申請者等の研究グループにより考案されている.本船はトリマラン化により復原力を確保し,トリマランのサイドハルを防舷材として活用することによって損傷時復原性規則をクリアして,センターハル内の横隔壁を減らし,隔壁甲板下に長い車両甲板を確保している.また,上部甲板の幅が広がり,積載効率の向上を図っている.申請者等は従来の単胴型PCCと同積載台数の下,有効馬力の比較計算を行い,5000台積み以上の場合25knot以上の運航速度でトリマラン船の方が有利になる試算を得ている.また積載効率の向上により上部構造物の低層化が可能であるという試算も得ている,しかし,左記に述べるようにPCCは風による影響を大きく受けるため様々な風圧力・風向角を踏まえて運航シミュレーションや安全評価を行うことが重要と言える.またトリマラン船に関する風圧力推定法は単胴船に比して非常に少なくその推定法も確立されていない. 平成22年度はVPP (Velocity Prediction Program)を実施し風速に対する速力,斜航角等々を算出した。
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