研究概要 |
海上監視システムに有効なセンシング技術手法のひとつに水中音観測がある。本研究の目的は,ハイドロフォンを利用した水中音観測を行い,監視水域を航行する船舶の水中音特性を把握し,航行船舶の識別技術を確立することである。 そのためには,船舶音以外の雑音を含む水中音から船舶音のみを抽出する技術が必要である。そこで音声工学分野等でコンピュータによって聞きたい音源を分離抽出するための様々な研究が行われており,水中音においても分離抽出技術を採り入れることを考える。これにより,不審船や密漁船監視に役立てられると期待する。 以下に平成21年度に実施した研究および成果について列挙する。 ・ より遠方の航行船舶の水中音を検知できるようにするため,受波感度が高いハイドロフォンを製作した。 ・ 航行船舶の方位推定算出手法の開発を行うため,試験水槽においてハイドロフォン2台を利用したパルス波(単発音)の位相差観測実験を実施した。 ・ 観測実験において雑音の混入が発生したため,後処理に雑音除去処理の導入を検討した。 ・ 音響特性からの識別に有効であると考えられる手法のひとつとして,線形予測法による音響解析のアルゴリズムを構築し,プログラム登録を行った。 ・ 音源分離抽出に関するアルゴリズムの開発を行った。引き続き観測データから構築したアルゴリズムの検討評価を行う。
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